少しずつ理解出来てきた。



「確かにベアトリーチェはここに来て一番新人であるが、一番薬の効果が高い。 その能力を最前線で発揮してほしい。 新人である君を最も過酷な場所に配置した事申し訳なくも思うが、一人でも多くの命を救いたい」



みんなからの視線を感じながら、薬室長の熱い視線を受け止めた。



「私だけじゃなく、先輩薬師たちも一緒だ。 不安だろうが、精一杯フォローするよ」



フリオン薬室長補佐は安心させるように微笑んだ。


ギュッと握られたロアナの手をギュッと握り返した。



「謹んでお受けいたします」

「ビーチェ! 本当にいいの!?」

「心配してくれてありがとう。 でもね、私の能力を活かせるなら、私は行くべきだわ」

「ビーチェ……」



ロアナにギュッと抱きしめられた。私も同じように抱きしめ返した。


本当は怖い。救護所にはちゃんと結界が張られていると言っていたけど、それは絶対的に安全とは言えない。最前線は常に危険、そして死と隣り合わせ。


けど、ジーン王子の役に立てるかもしれないと思ったら気持ちを強くもっていられそうな気がした。


私が彼の助けになれることといえば薬を作ること、手当てをすること……そのくらいだもの。どんな時だってやれる事をやる。今までそう教わってきた。今もそれは変わらない。