そう言われてある晩の事を思い出した。


ジーン王子は私の事なんて御構い無しに暗闇に潜んでたけど……。今考えても本当、失礼な人よね。



「お気遣いありがとうございます。 ですけど、きっと明日にはアウロラは散ってしまいますから、私がアウロラに会って欲しいと思ってるんです。 アウロラが少しでも寂しさを感じなくていい様に、会いに行って頂けますか?」



ルネ王子に笑って伝えると、とびっきりの笑顔で「もちろんだよ!」と言われた。私が「ありがとうございます」とお礼を言うと、リュカさんに頭を下げられた。


ルネ王子達と別れ今度こそ仕事に向かった。薬室に入ると、珍しく空気がピリついていた。静かにロアナのところへ向かった。



「おはよう。 今日みんなどうしたの?」

「おはよう。 それがね、今日発表されるみたいなの」



発表?



「何の?」

「戦争中の配置についてだよ」



え?それって……。



「……始まるの?」

「どうやらね。 この雰囲気味わうのは2回目なんだけど、全然慣れない。 今後も慣れそうにないよ」



とうとう本格的な戦争が始まる。そしてそれはカウントダウンの始まりでもある。ジーン王子とグレース王女の婚儀への……。