日付が変わるたび、アウロラの7枚の花びらは一枚ずつ散っていった。今朝はとうとう最後の1枚になっていた。レミーも私と同じ様に悲しく思っているのか、今日はアウロラの側から離れようとしなかった。


レミーは食堂まで朝食を食べに行かなかったから、側に木の実を入れた小皿を置いた。



「レミー、アウロラの事宜しくね」



レミーの頬を撫で、私は仕事に向かった。


昨日まではアウロラと一緒に出勤していたが、レミーが側を離れようとしないため、部屋に置いていくことを決めた。アウロラの観察を楽しみにしている薬室長たちには頭を下げて分かってもらおう。



「ベアトリーチェ!」



朝から元気いっぱいなルネ王子が駆け寄ってきた。今日のお供はリュカさんだけだ。



「おはようございます」

「おはよう! 今日はアウロラは一緒じゃないの!?」

「レミーが一緒にいたいみたいだったので、部屋でお留守番をしてもらってます」

「そっか……」



アウロラの虜になったのは薬師や研究者だけではない。ルネ王子もだ。



「私は今から仕事ですけど、良かったら部屋に入って頂いても大丈夫ですよ」

「え!? 本当!?」

「ベアトリーチェ殿、それはいくらなんでもいけません。 不在時に女性の部屋に入るなんて失礼ですよ」