頭は回らないのに、心は動いているからか、よく分からない熱がこみ上げてきた。グッと拳を握り、歯を噛み締めた。


震える拳にレミーの小さな手が触れた。



「今回の戦争が終わったら直ぐに婚礼の儀を行えるようにと、パトリスがグレースを寄越したというわけだ。 まぁ、元々親の想いは関係なく婚約を結んだ2人だから、当人達もそれでいいと思っているみたいだがな」



つまりそれはジーン王子も望んだと言うことだよね?グレース王女の事を愛していると言う事だよね?


最初から私の入る隙なんてなかった。ううん。そう考える事すら烏滸がましかった。それでも、ジーン王子との距離が近付けば近付く程、夢を見ずにはいられなかった。



「そうなれば国王陛下には義娘ができますね」

「そうだが、私にはもう可愛い娘がいるからな」



ショックを受けていても不思議と言葉は次から次へと口から溢れてた。会話も出来た。けど、国王陛下の部屋を出た時には何を話していたか忘れてしまっていた。