ヘンリーが止まったから私も一緒に足を止めた。


見上げるくらい大きなドアの前には腰に何かを下げた男の人が2人立っている。そういえばヘンリーも腰に長いものをぶら下げてる。



「開けてくれ」

「お言葉ですが、お連れの少女はこちらで__っ」

「開けろと言っている」

「ヘ、ヘンリー!?」



ヘンリーは腰から下げていた物を引き抜くと、それを男の人の首に突きつけた。それは鋭く光っていて、危ない物だという事はすぐ分かった。


しがみ付いて見上げても、ヘンリーは私を見てくれない。


怖い。


もう一人の男の人が震えながらドアを開けた。


ヘンリーに手を引っ張られて転けそうになる。



「遺書にはちゃんとわたくしの事を書いて下さったのですよね!?」

「こんな時に醜いな」

「ハッ! 兄さんは長男だから余裕でいられるってわけ? 俺も姉さん同様今後どうなってるのか心配でしょうがないね」



色んな人の怒鳴り声。怖くて足が止まった。でもヘンリーは止まってはくれなくて、引きずられるように歩いた。