そうは言われても受け取るのを躊躇ってしまう。



「では報告してもらうとしようか」

「え?」



困っている私を見かねたのか、薬室長がそういった。



「もしも花が咲いたら、私たちに見せてくれないか?」

「……分かりました」



鉢植えを受け取り鼻をすぐ近くに寄せると、蜜のような甘い香りが鼻を掠めた。虹花ってこんな香りがするんだ。



「そう気負う必要はない。 私たちいい大人が寄ってたかって研究しても咲かせる事が出来なかった花だ。 もし仮に枯らしてしまったとしても、責任を感じる必要はないよ」

「はい、ありがとうございます」



それでもやっぱり受け取ったからには咲かせたい。蕾でさえこんなに美しいんだから、咲いたら信じられないほどの美しさに違いない。その姿を見てみたいし、何より大切な命を育てたい。


ロアナは個人的に香油をプレゼントしてくれた。髪の毛にも体にも使えるそうだ。髪の毛も肩くらいの長さで纏まりがなくなっていたから、これで少しは纏まりやすくなるかもしれない。


私は一度部屋に貰う許可をもらい、プレゼントを置きに行くことにした。