見たことのない洋服を着てる。



「ビーチェ……」

「ヘンリー? どうしたの? 何かあったの?」



慌ててヘンリーに駆け寄った。凄く悲しそうに見えた。こんなヘンリー見たことない。



「ヘンリー、迷う事はないよ。 君がそうすべきだと思うのならそうなのだろう」

「ですが……」

「ベアトリーチェはルーカスにとって最後の光、温もり……唯一ひとりの人間として居られる場所。 私は友としてその温もりをさいごまで持っていてほしいと思うよ」



パパがなに?なんの話してるの?


訳分からなかったけど怖くなった。ヘンリーの洋服をギュッと握った。そしたら泣きそうな顔をされた。



「ですが……私の行動は愚かな事ではないでしょうか? 自己満足なのではないでしょうか?」

「おもいやり、愛あるものならば神は赦されるのではないだろうか? それに、君もベアトリーチェも独りではない」



ヘンリーにギュッと抱きしめられた。力強くて苦しい。でも今は離れちゃダメな気がした。



「行こう、ビーチェ……」



「何処に行くの?」って聞きたかったのに言葉が出てこなかった。


ヘンリーに手を引かれるまま教会を出た。神父様は穏やかな笑みを浮かべて居た。