「ビーチェ!! お誕生日おめでとぉー!!」



勢いよくロアナに抱きつかれた。


壁には[お誕生日おめでとう]の文字が可愛らしく飾られている。


これって私のって事だよね?こんな風にお祝いしてもらえるとは思ってなくて、言葉がうまく出てこなかった。



「え!? ちょっとビーチェ! 泣いてるの!?」

「え? あ、ごめん! なんか嬉しくて__っ」



拭っても拭っても出てくる涙。しつこい涙に思わず笑ってしまった。



「あはは、どうしよ止まんない!」



薬室のみんなに笑われてしまった。


レミーと二人きりの誕生日でも幸せだと思ってた。だけどこうしてみんなにお祝いしてもらえるとやっぱり嬉しい。


ヘンリー、私一つ大人になったよ。きっとそれでもヘンリーの中の私は幼いままなんだろうな。



「ベアトリーチェ、お誕生日おめでとう。 これは私たちからだよ」



薬室長が持つ鉢植えに植えられていたのは、七色の蕾を付けたお花だった。



「これって……」



中々お目にかかる事が出来ない虹花!?あまりの珍しさに一部の人たちから高値で売買されてる筈……。



「わ、わ、わ、私が貰っていいんですか!?」



本当に稀少で、生態も分かってないお花。



「研究に当てた方が__」

「実は何度か研究しようと試みた事があるんだが、とても気難しい花で直ぐに枯らしてしまうんだよ。 けど、君なら上手く育ててくれそうな気がしてね。 これは私だけの意見ではなくみんな同じ意見だよ。 だから遠慮せずに受け取ってくれないか」