「ルネ王子がして下さったお話の中で一番印象に残っているのは妖精のお話しです。 国王陛下は妖精をご覧になった事はございますか?」

「残念ながら、私は一度もない。 妖精の目撃情報は一年に一度出れば良い方だ」



妖精は何処にでもいるが人の目に触れる事は滅多にないという意見もあれば、空想の生き物だという意見もある。目撃情報はガセだとか本当だとか……真相は分からないのだという。


妖精を目撃したという人の話では、妖精は手のひらサイズだったらしい。それも本当かどうかは分からないけど、もしも本当にいるのなら私は会いたい。


ルネ王子は妖精はいると思う!と、目をキラキラと輝かせながら話してくれた。



「妖精は美しく繊細な生き物だそうだ。 皆気付いていないだけで、側にたくさんいると言っていた」



言っていた?



「妖精に会った事がある方がいらっしゃるんですか?」

「もう会う事は叶わぬ友人がそう言っていた」

「…………」



伏し目がちな国王陛下の顔が悲しそうに見えた。だからこれ以上はこの話を続けてはいけないと思った。