その晩、国王陛下のお部屋にもお花を届けた。



「もし邪魔でなければお部屋に飾って下さい」

「邪魔なものか。 嬉しいよ、ありがとう」



黄色い花をつけた小さな鉢植えをお渡しすると、国王陛下は日当たりの良さそうな南側の窓際に飾ってくれた。


ここ最近は落ち着いて居るのか国王陛下の顔色はいい。薬師としてではなく、ただ単にお茶をしにきて居るだけのような気がする。そう思いながらもゆっくりしてしまうのは、やはり国王陛下と父親を重ねてしまっているからだろう。



「そのお花、ルネ王子が気に入って下さったんです」

「ルネが? そういえば近頃は薬室に入り浸っていると聞いた。 邪魔になっておらぬか?」

「いいえ、ちっとも邪魔じゃないですよ。 ルネ王子の笑顔にみんな癒されてます」

「それならいいんだが、もしワガママを言うようであれば叱ってくれて構わない」

「はい。 ではお言葉に甘えてそのように致します」



ルネ王子は人を困らせるような事を言わないししない。たまに常識離れした様な事を口にする事もあるけど、その時はリュカさんやゴルチエさんがスマートにフォローを入れている。それは見事なまでに自然で、雰囲気を壊すことはない。