「なに!? 聞こえないよ、何も聞こえないよ、御崎!」


無謀にもわたしはまだ声を張り上げる。
嘆きかけるのは、御崎の頭部。


「御崎、ねえ、返事をしてよ!」


ついに頭も消え、目の前には道路が現れる。
なぜだか全身の力が抜け、わたしはアスファルトに膝をつく。
わたしの涙腺は壊れてしまったのか、一気に涙があふれ出た。


遅いと分かってた。
もう届かないと知っていた。


だけども、さっき御崎がいた空間に、叫んだ。



「わたし、ずっと御崎のことが好きだったんだよ!」



ぴぴぴぴぴぴ。
手元から、けたたましい音を腕時計が放つ。



それは、十二時を知らせる――