少ないけれど内容のある思い出が、走馬灯のように頭を過ぎ去る。

御崎と話すようになって、御崎の友達と話すようになって、その子の友達と話すようになって。
そうして輪は広がり、わたしはいつしかどんな子とでも話せるようになっていた。

全部、御崎のおかげだ。
今のわたしがあるのは、御崎のおかげなんだ。

だから、だから……!


「いやだ、いやだよ、御崎! 御崎が死んじゃったら、わたし、どうすればいいの……!」
「大丈夫、大丈夫。美里はちゃんと自立してんじゃん。俺がいなくなったって、何も心配ないよ」
「そんなことない、絶対にそんなことないもん! わたし、御崎が思っているほど強くない……」


だけどそんなわたしの叫びも無視をして、御崎はわたしの腕を掴んだ。
何事かと思い腕を引っ込めようとするが、御崎はわたしの腕――正確には時計をじいっと見つめた。

「……なに?」
「あー、悪いけどさぁ」


やっと手を放したかと思えば、なぜだか真面目な顔になって、一言。


「俺、もう死ぬわ」


嫌だと言うよりも、ふざけんなと言いたくなった。