秘書室長と鉄壁女子の攻防戦



「それは酒だ」

一口呑んだ時に気づくべきだった。

動揺し過ぎて、水とお酒を間違えるなんて有り得ない。

これは、いろいろとマズいんじゃ……。

鉄壁な私はどこへ行った……?

「ゲホッ!変なこと言うから!」

「俺は嘘偽りは言わない」

顔が熱いのは、絶対お酒のせいだ。

頭がぼーっとするのも、胸がドキドキするのも、全てお酒のせいだ。

差し出された水を飲んでも、一向に熱は引かない。

酔っているせいか、隠していた気持ちが口から溢れ出る。

「私は平然と嘘をつかれたんです。二股されたあげく、都合のいい女だとまで言われたんです。傷つくくらいなら、恋愛なんてしないって決めたんです。だから、これ以上踏み込んでこないでください」

一息に話したら、ますます頭がぼーっとしてきた。

「倉橋さん、大丈夫か?」

秘書室長に至近距離で顔を覗かれていることすら、気づいていなかった。