伊達に社内一鉄壁だと言われているわけではない。
こうも冷たく言われれば、誰も踏み込んではこない。
「そうか……」
ほらね、この人も同じだ。
食べるものは食べたし、早く帰ろう。
そう思って立ち上がりかけた時、秘書室長に腕を掴まれた。
「離してください」
「離さない。勇ましいかと思えば、切ない顔を見せる倉橋さんから目が離せない」
掴まれたところが熱い。
「意味がわかりません」
視線がさ迷う。
「過去の男と俺は違う。俺は倉橋さんの人生を丸ごと背負いたい」
「な、な、なに言ってるんですか!?」
あまりにも衝撃的過ぎる発言に動揺を隠しきれない。
口の中が渇ききっていることに気づき、近くにあった水をゴクゴク飲んだ。
「あっ、待て」
秘書室長に止められたけれど、その理由はすぐにわかった。
「ゲホッ!これ、水じゃ、ない?」
喉が熱い。

