「私は、家族みんな健康でいられますように、って……」

「うわ、さすが。めっちゃいい子じゃん」

「別にそんなこと……ていうか、だから! そういうそっちこそ、何をお願いしたの?」

「えっ……俺は、まあ、うん」

「うん、じゃなくて」



彼は、ばつが悪そうにして、なかなか答えようとしない。

そこまでされると、余計に気になる。

でも、人の願い事などを根掘り葉掘り、聞き出すのもよくない、と諦めることにした。

やっぱり少し残念に思ったのは、本当だけど。



「やっぱり無理して言わなくていいよ。ごめんね」

「えっ、それはそれでなんかさ……」



さっきまで慌てて、目も合わせようとしなかったくせに、今は不満げな表情で私をじーっ、と見ている。

こちらも負けじと見つめ返す。

すると、みるみる彼の顔が真っ赤になっていった。

しばらく彼はあー、うー、と唸っていたかと思うと、突然大きな溜息の様なものをした。



「お願い事ってか、神様に相談してたんだよ。
隣にいるこの子はど、どうしたら、俺のことを好きになってくれますか、って……」