「盗み聞きとは、趣味悪いな」

「けっ...健人!?」

何故か隣にいた健人。

最初から私がここにいるってわかっていたのかな?

「たまたま、聞こえただけだから」

「めっちゃ凄い顔して、聞いてたのにか?」

「えっ」

どんな顔してたんだろう...。

気にせずに、素通りすれば良かったと、今更ながらに後悔する。

「俺が、あのチビの代わりしてやるか?」

「なんの話?」

「ファッションショーやるんだって?
それのタキシード、俺が着てやるよ」

「なんで、その話...。まさか、盗み聞き!?」

「お前にしては、勘が鋭いんだな」

「人に趣味悪いっていっておきながら、自分もしてるじゃん!」

「だな」

健人がたまに見せてくれる笑顔は、本当に心臓に悪いよ。