薔薇に願いを込めて

部屋の全て、隙間なく埋まる服たちは、どれも魅力的で女の子なら誰もが着たいと願う服ばかりだった。

一際何故か目立って見えた服があった。

白が基調で作られていて、レースはシースルーのような透ける生地で作られていて、パステルカラーのピンクがうっすらついていた。

よくあるリボンなどではなくて、花柄でなんとなく妖精みたいなデザインだった。

手にとって見ていたら、驚いたように華恋ちゃんが覗いてきた。

「その服...。懐かしいわね。

そう、美羽さん。あなたのブランドと昔、共同製作した服ね。

色やコンセプトはangelkissのもの、
作り方や形はbitter&chocolateなのよ。

私もお気に入りの服だったけど、最近は着てなかったわね。

かなり人気があって、カラーバリエーションもそのあとに色々作られたの。

また、こんな服作ってみたいわ...なんて...。」

遠回しに美羽に一緒に服を作りたいといっているようなものだ。

そのことにあとから気づいて、黙りこんでしまった。

張り詰めた空気を割ったのは美羽だった

「華恋さん。作りましょう!

学校祭で、ファッションショーやりましょう!

最初に私のブランドのangelkissのショー、

次に華恋さんのブランドのbitter&chocolateのショー、

最後に共同製作の、んー...そうですね...。

angelbitter(エンジェルビター)のショーを!」

もちろん私も驚いたけど、何倍も驚いていたのは隣にいた華恋ちゃんだった。

「なに、いってるの?無理よ!

もうあと1ヶ月『しか』ないのよ!

そんな短期間で出来るはずがない。」

「いいえ、あと1ヶ月『も』あるんです。

そんな事で諦めるんですか?がっかりしました。」

「ちょ、そこまでいわなくても...」

そう言いかけると美羽が手で静かにと合図をだしてきた。

何か考えがあるのかもしれない。

「そっ..そんなわけないでしょう!

いいわよ。やってやりましょう!

でも、モデルはどうするの?」

「そんなの...」

一斉に2人の視線が私に集まった。

「桜、お願い!私達のためにも!」

「お願いできるかしら」

これは、予想してなかった。

yesっていわないと終わらないのは分かってる。

「わ...わかったよ」

「ありがとう!桜」

「感謝するわ、桜」

そんな流れで突然決まってしまったファッションショー

成功してほしいけど、私がモデルは...大問題!