薔薇に願いを込めて

おい..おい!..桜!

だれかが呼んでる?

目を開けると健人がいた。

そういえば私、倒れたんだっけ

なんだかいい夢を見た気がする。

右手に温もりを感じるから、健人に手を繋がれてて、いい夢だったのかな...え?

手を...繋いでて...

しかもよくよく考えれば名前で呼ばれたの初めてのような...。

驚いて、とびあがったら頭がずきずきといたい。

「お前、まじで危なっかしいな。
さっきなんて突然ぶっ倒れて、植木鉢に頭ぶつけて、
本当に心配した。」

「えっと...ありがとう?かな」

「ん。いつかこのご恩は返してもらうからな」

「うん!絶対に返すよ」

今は頭の痛みなんかどうでもいいくらい嬉しくて、

こんな風になる前の私の健人に対する思いとか

色々込み上げてきちゃって、

大泣きしてまた健人に心配かけちゃったんだ。

でも、幸せなのも今だけかもしれない。

きっと、もうすぐバイトが同じだって言うこともばれてしまう。

そろそろクリスマスだから。

多分、健人に会いに来たファンの皆が押し寄せちゃうと思うから。