薔薇に願いを込めて

どうしよ。

2人きりとか、気まずい...。

「なぁ」

「はっ、はい!」

突然呼ばれたからびっくりして、へんてこな返事をしてしまった。

入学式にあった健人くんと全然口調がちがくて頭が混乱した。

「一回しか説明しねぇから」

気になることがたくさんあったけど、そこからはスピードが早くてついていけなかった。

働いていないのに説明が終わったあとに疲れがずっしりと乗ってきて。

お花やさんってこんなに大変なんだ...。

「分かったか?」

「もっ、もう一回いいですか?」

「さっきの俺の言葉聞いてた?だ、か、ら、一回しか説明しねえての」

「え...。」

今さらだけど、はじめてその時に目があった。

身長高いな。

多分健人くんは、177㎝くらい身長がありそうだから、身長158㎝の私とは19㎝もちがくて。

「なっ....そんな目でこっちみんなよ。照れる」

「へ?」

「ほんとお前、無自覚」

何をいってるのかさっぱりだったけど、なぜだかもう一度説明してくれた。

たった1日しかいなかったけど、これが健人くんの巣なのかもしれないと思った。

今思えばなんだか学校なかではいつも辛そうだった。

王子さまキャラつくって素直じゃなくて。

なんだか蒼と正反対だなって思いながら健人くんの横顔をずっと見ていた。