おわったという安心感で、なぜだか涙が溢れだした。

緊張感と集中力をもって、真剣にやったつもりだけど

蒼と健人に振り回されただけで、

身が持たなかった。

「まだ泣くなよ。俺たちは、これからが勝負なんだよ」

涙と汗と鼻水でぐちゃぐちゃになった私の顔に、

ティッシュを押し当てる。

「最後まだ、お前用の着る服あるんだよ」

「え?」

予定では、このあとに制服を着て、結果発表のはず。

「ほら、こいよ」

手首をつかんで、控え室に入る。

「お前へのサプライズだ」

がちゃっと扉を開くと、

そこには、ゴスロリの着物が圧倒的な迫力を放っていた。

足首までの赤色のふわっとしたスカートは、

2段になっていて、赤色のスカートがさらについている。

手のところが白色の巫女袖になっていて、赤色の飾り紐がついている。

胸らへんには、オーバーラップ編みになった赤色の紐がリボンで結ばられていて、とても可愛い。

「これ...」

「桜が、華恋の家で手に取った、angelkissと

bitter&chocolateの昔コラボしたときの、

リメイクバージョンだよ。

華恋と桜に内緒で作ったの」

「結構大変だったのよ?

それは、売ったりしないからあなただけの服よ。

その代わり、どっちが勝っても変に気を使わないこと。

私、そういうのだけは苦手なの。

桜とも美羽ともずっとなかよくいたいもの」

その言葉を聞いてから、私と美羽は一斉に華恋のところに集まって、泣いてるのか笑ってるのかわからない声で泣いた。

『ぴーんぽんぱーんぽーん!

集計が終わりましたので、体育館にお集まりください!』

「みんな、いこ」

「お前、まだ衣装のまんまだぞ」

「あっ、ちょっと待ってて」

そういい、急ぎ足で着替え室に入ってパタンと扉を閉じて、

どんな結果だって、きっとハッピーエンドにすると

違って、制服のリボンをしめた。