さっきとはまた違って心臓が早く脈をうつ。

緊張?

それとも、健人がかっこよすぎるから?

慣れない服を着ているから?

きっとどれも違う。

健人といれるこの瞬間が、この時間が楽しいんだ。

本番前なのに、こんなこと考えちゃだめだって分かってる。

でも、顔の熱が引かない。

「急げよバーカ」

「足痛いんだよバーカ」

頑張って反撃したつもりなのに、大声で笑われた。

「ほんっと素直になれよな。

まだ、足痛いならすぐ言えばよかったのに」

そういったのとほぼ同時に、手をかたに回してぐっとお姫様だっこをした。

「えっ!?ちょっとまって!」

「時間ねぇから、ちょっと黙ってろ」

私を押さえる手に力がはいる。

健人は必死に走ってるのに、私は顔が近くてドキドキしっぱなしで。

ほんと、無自覚だよ