薔薇に願いを込めて

最前列に座っていた蒼ファンの人達が歓声というよりは、

奇声のようなものをあげていた。

『嫌!なんで、手を繋いでるの!

あの桜とかいうやつと、どんな関係??』

そう聞くと、蒼が司会の人からマイクを貰って、喋りだした。

「僕と桜は、昔からの幼なじみ...

いや、僕の片想い相手です。

ここに来てくださっている観客の皆さんは、好きな人がいますか?

恋をすることは、良いことでもあり悪いことでもあります。

好きな人が笑っていたら、自分も笑顔になれる。

好きな人が話しかけてくれたら、凄く嬉しくなれる。

好きな人と手を繋げたら、幸せになれる。

でも、好きな人に好きな人ができたら、
辛く悲しい片想いになる。

それら全てがあって、好きになるってことなんだと僕は考えます。

どうせ無理なんだって諦める事が、出来ないくらい好きだって言えるくらいになれたら、

真実の愛になれる。

そう信じて」

そういった後、蒼と目があった。

「好きです」

まっすぐと私を瞳で捉えて。