薔薇に願いを込めて

スポットライトに照らされた道を、

カツンカツンと音を立てながら歩く。

正直、緊張で歩くことすらままならないけれど、

前を向いて歩くことは、ギリギリできていると信じて歩き続ける。

周りの声なんてまったく聞こえない。

このフリルのたくさんついた服は、私なんかには似合わないのは分かってる。

だから、似合わないなりの努力だ!

一番端のランウェイの道で、手に持っていたメルヘンな日傘をパッと開いて、1回転させた。

そうしたらさっきまで聞こえてなかったはずの声が聞こえてきた。

『可愛いーーー!』

『似合ってるよ!桜ちゃーん!』

....夢じゃ...ないよね?

こんなにも大きな歓声が私を包んでくれているなんて、気付いていなかった。

さっきも泣きそうだったのに、今も危ないよ。