杏香の指した方を見てみると、また類くんと目が合った。 類くんは私に向かって、小さく手招きをした。 これはもう、無視できないな。 私はジュースを一口啜って、席を立った。 「あの、えっと…」 どうして自分が類くんに呼ばれたのか、全く見当もつかなかった。 「私に、何か用事…?」 「用事ってわけじゃないけど、何か話したくなって」 「…そうなんだ」 「うん。迷惑だった?」 「そんな事ないよ!でも——」 私のこと嫌いなんじゃないの、と言いかけて、やめた。