「俺も歌おうかな」



「うんうん!歌って!」



「分かった」





そう言う俺を嬉しそうに見ると、また


話し始めた。





「弦の声はさ、優しい感じでしょ」



「あぁ」



「響太は可愛くて小悪魔っぽい」



「確かにそうだな」





ふっと俺が笑うと風歌も笑う。なんか


、こういうの幸せだな…





「それでそれで、天音は元気な気持ちになる声で」



「うん」



「律はねー、低くて安心するけど、カッコいい声!」



「…っ」





見た目とか、身長とか、頭の良さとか


、運動神経とかじゃなくって。誰も持


ってない俺だけの"声"を褒めてくれた


ことが嬉しくて、またこいつへの想い


が大きくなる。





「ありがとな」



「うんっ」






あいつはこくっと頷くと、ギターに指


をかけた。





「いくよ?」



「おう!」





響くギターの音。他の人がこっちを向


くのが分かった。


この曲は、1番初めにみんなで合わせた


時のもんだ。あの後話し合いながら手


直しをして、歌詞は切なげだけど、優


しい気持ちになれるような歌にするこ


とができた。