amberdrops 1

「そんなに想われてるなんて、その子は幸せだねぇ〜…」





風歌のことだと言いたい。


でも、まだキッカケが掴めなくって。


俺はまだまだ小心者だから…










「お、着いたぞ」





ドアを開けると聞こえるのは賑やかな


笑い声。子供達がキャーキャーはしゃ


いだり、お年寄りが散歩したり、おや


つを食べてる人もいる。





「律、あそこあそこ!」






風歌は奥にある木の下を指した。






「はいはいお嬢様ー」



「お嬢様って何よーっ!」





ちょっと嬉しそうに怒るあいつ。


こんなに愛おしいと思うやつができる


なんて、昔の俺には想像も出来なかっ


ただろうな。





「よし、降ろすぞ」





またお姫様抱っこで木陰の芝生


に降ろしてやる。確かにここは居心地


も良いし、歌うには最適だな。





「ありがと律!さっきからごめんね」



「おう、気にすんな」





そう言って手渡したギターケースから


あいつはギターを取り出し、ヘッドホ


ンをつけた。