「はーい!」



「おはよ、風歌」





玄関先で微笑んだのは律。あ、そっか


昨日はゆーくんだったから、今日は律


の日だったね。





「おはよっ!あー、律!髪濡れてるじゃん!ちょっと待っててね」





あいつの黒い髪から水が滴り落ちてい


た。せっかく迎えに来てもらってるの


に、風邪ひいちゃダメだもんね。


ちょっと濡れた律がカッコいいと思っ


たのは、誰にも言えないけど。





「わざわざ取りに行ってくれたのか…
サンキューな」





タオルを投げるとふわっと笑って受け


取った律。


うむ、良かった良かった。





「じゃぁ行くか」


「うん!」





傘を持ち、外に出た。





「ギターケース持ってたらお前が濡れちまうだろ」





やっぱり律は優しいなぁ。


当たり前のように、ギターケースを持


ってくれてる。




「ありがとう!」



「おう」





返事は相変わらずそっけないけど。