泥沼!? 夢見るオトメの恋愛事情【完】



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私は、悩んでいる。

友人に真実を告げるかどうか。


いや、告げることは、もう何度もしている。

問題は、どうやって告げるかだ。



私は、いままで、12回失敗している。

これ以上、手もないように思える。

でも、このままじゃあ、ダメなことは分かっている。


隣でハイテンションでしゃべる友人を、ちらりと見る。

今日も楽しそうに『セン』の話をしている。



『セン』。

本名、風前千里【かぜまえ ちさと】は、

私の元彼だ。


そして、

3年前に死んでいる。



とても、哀しいことだった。

それでも、私は、前を向こうと決めた。


きっと、ふさぎこんでいる私を千里くんは嫌がるだろうから。











でも、








夢実は、前を向けなかった。







夢実は、まだ『セン』の生きている世界にいる。


『セン』が生きている世界を演出している。


『セン』がしそうなイタズラを、自分に仕掛けることで彼の存在を感じている。


千里くんは、確かにイタズラは好きだった。

でも、もっと相手が喜ぶような、楽しめるような、回りを幸せにするイタズラが好きだった。


目を覚ましてほしい。



千里くんと仲が良かった図書室のメンバーの力も借りて、夢見を現実に戻したい。

一緒に、前に歩みたい。









私が夢実を助ける。



隣でハイテンションにしゃべり倒す友人を


死という現実を受け入れられない友人を


虚構という泥沼から出られない友人を


横目に、祈る。







「私がんばるから、応援していてね? 千里」



返事は、もちろん、ない。


でも、それでいい。


私たちは現実を生きているのだから。














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終わり