彼女と一秒でも長く一緒にいたいから、僕は全て神様に納めました

「ごめんね、願」

母親が、もう一度僕に謝った。

「謝るぐらいだったら、僕のためにお酒をやめてくれよ!」

母親の体を振り払って、僕は大きな声を上げて家を飛び出した。

背後から、「願!」という母親の声が聞こえたが、僕は足を止めなかった。等間隔に設置された街灯には白色灯の明かりが灯っており、暗くなった夜道をがむしゃらに走った。がむしゃらに走るにつれて、自分の家が遠ざかる。

つい最近までけたたましく聞こえていたせみの合唱も、どこからともなく聞こえる鈴虫の鳴き声に変わっていたことに、季節は夏から秋へと移り変わったんだと自然が知らせていた。