彼女と一秒でも長く一緒にいたいから、僕は全て神様に納めました

「どういうこと?」

「父親から離婚届が送られてきたのに、お酒ばっかり飲んでてだいじょうぶなの?」

と言っても、僕の願いで七日間だけ父親が明日から帰ってくる。だが、お金が増えることではない。

「願‥‥‥」

母親が僕の名前を呼びながら、一歩近づいた。

「ごめんね、願。私、さびしいの。お父さんが仕事で家を離れてから、一回も連絡ないから、さびしかったの。でも、友人とお酒を飲んでいると気持ちがふわふわとなって、さびしい気持ちから、楽しい気持ちになれていたの。なんどもお酒をやめようと思ったけれど、さびしさに耐えきれなかったの。ごめんね、願」

僕を抱きしめた母親の口から、謝罪の言葉が聞こえた。

父親が家を離れてから母親がさびしい気持ちになるのは分かるし、友人とお酒を飲みたくなる気持ちも、今の母親の言葉を聞いてなんとなく分かる。だからと言って、毎月父親から送られてきた生活費のお金にまで手を出すことはないじゃないか。

そう思って僕は、下唇を強く噛んだ。