彼女と一秒でも長く一緒にいたいから、僕は全て神様に納めました

ーーーーーー嘘だろ。僕が、つぼみの願いをかなえてあげてるんだよ。どうして、僕じゃないんだよ。どうして、僕を好きになってくれないんだ!

これまでこっそり僕は大切なお金を神社に納め続けてきたぶん、つぼみに振り向いてくれると思っていた。しかし、彼女は陰で支えていた僕じゃなく、親友の尊人と付き合っていたことに激しい喪失感が襲った。

「神宮君が、殴ったの?」

もう一度、つぼみが僕に訊いた。さっきとは違って、彼女は少し怒っているような口調だった。

「ちょっと待ってよ。たしかに殴ったけど、僕も蹴られたんだよ」

僕は、なぜか言い訳ぽく言った。

「でも神宮君、どこもケガしてないよね?」

「え!」

彼女にそう言われて、僕の口から呆けた声が漏れた。

「尊人が仮に蹴ったとしても、神宮君のように血が流れるぐらい、本気で殴るなんてあんまりよ!」

金切り声で彼女にはっきりと言われ、僕は奈落の底に突き落とされたような気分になった。