「昨日転校する予定でしたけど、悪化していた母親の体調が良くなり、救急患者が母親と同じ病気で入院することになりました。その患者で予定していた入院先の病院がいっぱいになり、患者が退院する一週間だけ私はこの学校でいられるようになりました」

大きく息を吸い込んで、彼女はうれしそうな声で言った。

つぼみの転校が伸びてうれしかったのは僕だけじゃなかったのか、生徒たちのうれしそうな声が教室に聞こえた。

「なぁ、広瀬」

午前の授業が終わって、午後十二時二分、僕は教室で行きしなにコンビニで買っておいたおにぎりを食べていた。

「なに?」

そう言ってつぼみが、僕に視線を移した。

「さっき、尊人となに話してたの?」

「なんで、そんなこと聞くの?」

僕がつぼみに質問したが、彼女が逆に聞き返してきた。その声は、なんだか不満そうだった。