彼女と一秒でも長く一緒にいたいから、僕は全て神様に納めました

「転校すること神宮や尊人君に言わなかったから、私に怒ってる?」

一歩僕に近づいて、つぼみは心配そうな顔で訊いた。

「べ、べつに。怒ってないよ」

僕は、ぶるぶると首を振って正直に言った。

怒ってはないが、僕は悲しかった。

「そう、よかった」

安堵のため息をついたつぼみは、僕に背を向けて再び歩き出した。

「どうして、そんなことを僕に訊いたの?」

開いた口が、思わずそんなことを訊いた。

「私たち、今日で別れるかもしれないんだよ。だとしたら、怒って別れるより、なかよく別れた方がいいと思って」

そう言って彼女は、笑顔で僕の方に振り向いた。

「でも、まだ神様が広瀬の願いを叶えてくれるかもしれないじゃないか?」

「叶えてくれなかったら、私たちは別れることになるんだよ」

彼女は、まるで他人事のように言った。