彼女と一秒でも長く一緒にいたいから、僕は全て神様に納めました

「お前、今朝〝神様なんかいない〟って言ってたじゃん」

僕の胸に指差して、尊人は眉間にしわを寄せた。

「そうだけどよぉ‥‥‥」

僕は、弱々しい声で呟いた。

今日が彼女と会えるのが最後だと思うと、一万でも二万でも神社に納めて密かに片思いをしているつぼみを引き止めたくなる。

「悪いけど今朝神社に行ったから、もう俺はいかないよ」

手をパタパタと振って、尊人は断った。

「そうか」

僕は、困ったような表情を浮かべた。


教室に戻って自分の席で先ほど購入したパンを食べていると、隣にいたつぼみが僕に声をかけてきた。

「ねぇ、そのパンおいしい?」

「え!」

こもった声を上げたと同時に、僕は彼女に視線を移した。その瞬間、彼女と視線が絡み、僕の心臓の鼓動がドクンと跳ねた。

ーーーーーー突然、彼女と別れることになるなんて神様も残酷だよな。

幼稚園のときからずっと彼女と一緒にいられると思っていたせいか、つぼみの転校を神様に頼んでなんとか引き伸ばしたい。