今日の朝食は、こんがりと表面をきつね色に焼いた食パン。水色のマグカップに入った、牛乳。それと、僕の嫌いな野菜だった。

僕はマグカップの取っ手を軽く握って、牛乳を半分ぐらいまで飲んだ。冷蔵庫で冷えた牛乳が僕の喉を通って、胃に流れていく。

「ふぅ」

僕は、口から深いため息をこぼした。

台所から、ジャブジャブと母親が食器を洗っている音が聞こえる。

「願、野菜もしっかり食べなさいよ。体にいいんだから!」

僕の心の声が聞こえたのか、母親はきびしい口調で僕に言った。

小さなころから、〝野菜を食べなさい〟と母親に言われ続けているが、高校生になった今でも僕は食べる気がない。

「野菜のどこが、体にいいんだよ?」

僕は小鉢に入ってる、ほうれん草に視線を落としながら食パンにかじりついた。

食パンにほどよく溶けたバターのまろやかな風味が、僕の口の中に広がる。

「うめぇ」

素直に僕はそう言った。

ふんわりとした食感とオーブントースターで焼いて少し熱くなった食パンが、僕の舌触りにとてもいい。