彼女と一秒でも長く一緒にいたいから、僕は全て神様に納めました

「それで神社にいくら納めたんだよ、つぼみ?」

隣にいる尊人が、制服のポケットに右手を入れながらつぼみに訊いた。

「五千円」と小さな声で、つぼみは掌を広げた。

「五千円!」

つぼみの掌を見て、尊人は目を限界まで見開いて驚いた。

五千円も神社に納めるなんて、彼女は相当な願いが込められているはずだ。

ーーーーーーいったいなにを願ったんだろう?

彼女がなにを祈ったか気になったのと同時に、五千円も納めたのだから願いのひとつやふたつ叶えてあげてもいいんじゃないかと、神様に思った。

「で、五千円も神社に納めて神様になにを祈ったんだ?」

不思議そうな顔をして、尊人はつぼみに訊いた。

「ちょっとした願いよ」

つぼみは、親指と人差し指を少し開いて言った。

「五千円も神社に納めて、ちょっとした願いって気になるなぁ。願も、そう思うだろ」

そう言って尊人は、僕に視線を移した。