彼女と一秒でも長く一緒にいたいから、僕は全て神様に納めました

「ジュース一本しか買わなかったのって、ほんとうは私と間接キスをしたかったからでしょ」

「ち、ちがうよ!」

つぼみに下心があると思われたのか、僕は胸の前で両手を振って否定した。

たしかにつぼみとキスしたいかしたくないかと訊かれると、したい。けれど、下心があったわけではない。

「ほんと?」

「ほんとうだって!」

僕は、顔を真っ赤にして答えた。

「ふーん。でも、私は願君と一本の同じ缶ジュースを飲めてうれしかったなぁ」

「え!」

なにげなく言ったつぼみの言葉を聞いて、僕の心臓がドクンと音を立てた。

「どうして?」

開いた口から、僕は思わずそんなことを訊いた。

「好きだから」

「え!」

「願君のことが、好きだから」

つぼみは、まっすぐな目で僕を見つめて言った。

彼女のこの想いはお金の力なのか本心なのかわからなかったけれど、つぼみの口からはっきりと聞こえた、゛好きだから〟という五文字の言葉が僕の心に響いた。

「ねえ、海辺まで行こうよ」

「え!」

とつぜん、つぼみに手を握られて、僕の目が丸くなった。

「覚えてないの?海を見ながら、野菜食べる約束」

「覚えてるけど………」

「じゃ、決まりね。行こう」

「ちょっと待ってよ」

僕の返事も聞かず、つぼみは強引に海辺まで僕の焼けた手を引っぱった。