彼女と一秒でも長く一緒にいたいから、僕は全て神様に納めました

「海に沈む夕日って、美しいだろうね」

海風が吹いたせいか、つぼみはかぶっていた白色のつば広ぼうしを軽く押さえながら言った。

「見たことないの?」

「病院からだとあるけど、海辺からはないんだ」

そう言ってつぼみは、病院に視線を向けた。

「お母さんの体調、また悪くなったんだ」

軽い口調で言ったつぼみだったが、表情はなんだか悲しそうだった。

「最近、母親の体調がよくなって、次の入院先の病院もいっぱいで、私の転校が伸びたりして。不思議なことばっかりで、ちょっとびっくりしてるんだ」

病院から海に視線を戻して、つぼみは笑顔を浮かべて言った。

「そうなんだ」

僕はこの不思議な現象を知っていたせいか、驚きはなかった。

次の入院先の病院がいっぱいなのも、母親の体調が急によくなったのも、そして、つぼみの転校が伸びているのも、すべて僕が神社にお金を納めて女神様に願いをかなえてもらったからだ。お金と引き換えに、僕はつぼみと一緒にいる時間を手に入れた。