彼女と一秒でも長く一緒にいたいから、僕は全て神様に納めました

「約束?」

僕は、眉間にしわを寄せた。

「野菜、食べること。私と約束したでしょ、昨日」

笑顔を浮かべて言ったつぼみの顔を見て、僕はそんな約束をしたことをふと思い出した。

昨日の夕方、つぼみとキスしたことが僕の頭の中にうめつくしており、野菜を食べる約束をしたことなんてすっかり忘れていた。

「海を見ながらなら、絶対食べられるよ」

「そう……だね」

やさしい口調で言ってくれたつぼみだったが、野菜をイメージすると、僕の顔が自然と暗くなる。

ベンチに座って数分間待っていると、バス停に乗るバスが到着した。順番にバス停で待っていた人たちが開いた後ろのドアから乗り込み、僕とつぼみもバスの中に乗った。バスの中は少し寒いぐらいの冷房が効いており、かいていた汗が一瞬で引いた。

「ふぅ、涼しい」

口から息を吐いて、僕は空いていた後ろから二番目の窓際の席に座った。

「外は暑かったけれど、バスの中はやっぱり涼しいね」

そう言ってつぼみは、僕のとなりに座った。

「秋なのに、急にこんな暑くなって不思議な気候だわ」

「ほんとほんと。まるで、夏みたいですね」

「天気予報のニュース言ってたんですけど、この暑さ、十日間も続くみたいですよ」

ほかの乗客から聞こえる話し声は、この夏みたいに暑い天気の会話だった。

「やっぱり、みんなも不思議に思ってるみたいだね」

「そうみたいだね」

つぼみにそう言われて、僕は苦笑いをした。