彼女と一秒でも長く一緒にいたいから、僕は全て神様に納めました

「私も願君と一緒にいられたら、どこでもいいよ」

そう言ってつぼみは、僕の手をそっと握った。

彼女のやわらかな手が僕の手のひらに伝わり、心臓がドキッとした。

「広瀬………」

とつぜんな出来事に僕は思わず彼女の手から自分の手を離そうとしたが、
「なんで離そうとするの?」
と言って、つぼみが五本の指をからませた。

なんで手を離そうとしたかは自分でもわからなかったが、初めてのつぼみとの恋人つなぎは………温かった。

「ねぇ、目つむってよ」

「え!」

「目つむって」

「どうして………?」

彼女のとつぜんの要望に、僕の口から不安げな声が漏れた。

「いいから」

拒否できないつぼみの言い方に、僕はゆっくりとまぶたを閉じた。

きれいだった夕焼けに染まった住宅街の景色が見えなくなり、僕の視界は真っ暗に包まれた。

「ん!」

目を閉じたわずか一秒後、僕の唇にやわらかい感触が伝わった。

一瞬息ができなくる苦しさもあったけれど、それ以上にこのとき初めて体験した幸せ。

つぼみとした僕の人生初のキスは………悲しいぐらい短かった。