彼女と一秒でも長く一緒にいたいから、僕は全て神様に納めました

「そんな気持ちだから、神様も振り向いてくれないのじゃないのか?」

尊人は、苦笑いを浮かべて言った。

「神様は、人の気持ちなんか見えないだろ」

僕は、あっさり言い返した。そして、ここで右に曲がった。

僕の視界に、赤い鳥居と見慣れた神社が数十メートル先に見えた。僕は目に見えている神社に向かって、まっすぐ自転車をこいだ。

「着いた!」

僕は神社の入り口に自転車を止めて、前カゴに入れていたカバンを手に持った。

神社にある大きな樹木の間から日差しが差し込み、石段に僕の黒い影が映る。

「あれ、僕たち以外に誰か先に神社に来てるのか?」

一台だけ僕と同じように神社の入り口に止めてあった、赤色の自転車を見て首をかしげた。

「おい、どうするんだ?俺たち以外に、誰か先に神社に来てる人がいるんじゃないのか?」

僕より少しおくれて到着した尊人も、神社の入り口に止めてあった赤色の自転車を見て言った。