彼女と一秒でも長く一緒にいたいから、僕は全て神様に納めました

「願。神社で、なに祈るんだよ!」

背後から、尊人が大きな声で僕に訊いてきた。

「なにも祈らないよ。ただ、行くだけ」

そう答えて僕は、そこで右に曲がった。

「はぁ、意味わかんねぇ」

わずかに眉を吊り上げて言いながら、尊人も僕に続いて右に曲がった。

神社までの距離はあと少しで、ここからは平坦な道をペダルをこいで走っていく。平坦な道を三十メートルほど進んでもう一度右に曲がると、神社が見える。

「じゃあなんで、神社に行くんだよ?」

尊人が、不平をこぼした。

「夏休み明けだし、絶対長ったらしい先生の話が朝からあるだろ。そんなの聞きたくないからさぁ、神社で休んでから行こうと思ってなぁ」

「それって、ただのサボりじゃないか?神社で休んだら、バチが当たるぞ!」

「だいじょうぶだよ、神様なんかいないから。もし存在していたら、とっくに僕の願いはかなっているはずさ」

自信満々に言って、僕は神の存在をきっぱりと否定した。