彼女と一秒でも長く一緒にいたいから、僕は全て神様に納めました

「空気がおいしいね、願もそう思うでしょ」

にっこりほほえんだ母親が、優しい声で僕に訊ねた。

「うん」

遠くを見つめて、僕はうなずいた。

しばらく母親とこんな会話をしていなかったからか、なんだか照れくさかった。

「ほんと、なつかしいね」

母親はむかしを思い出しているのか、なつかしそうに目を細めた。

「そうだね」

そう言って母親に視線を移すと、彼女の横顔から涙が頬を伝って流れていた。

「お母さん………?」

開いた口から出た僕の声は、震えていた。

「むかしは、よく家族で行ったけ?なつかしい、思い出だね」

「今も、家族だよ」

「え!」

「今も、家族だよ。どんなに状況が変わっても、僕たちはずっと家族だよ」

正直に自分の想いを母親に口にしたのがはずかしかったのか、僕の頬がかすかに赤くなった。