彼女と一秒でも長く一緒にいたいから、僕は全て神様に納めました

「おい、尊人。早くしろよ!」

振り返って僕は、彼を促した。

彼はまだ少し離れた距離で、自転車を押して坂道をのぼっていた。

「そんなこと言ったて、お前みたいに自転車をこいでのぼれるわけないだろ!」

自転車を押して歩きながら文句を言う、尊人。

「尊人が、『坂の上まで競争しよう』っていきなり言ったんだだろ!」

僕は坂の上から、彼を見下ろして大きな声で言った。

「そりゃそうだけどよ‥‥‥‥」

尊人は息を切らしながら、疲れた表情を浮かべて言った。

坂道をのぼっている途中、いきなり尊人が『坂の上まで競争!俺が勝ったら、千円!もし、俺が負けたとしてもお金は払わないから』とか言って、自転車にまたがってもうスピードでペダルをこぎ始めたのだ。しかし尊人の勢いはすぐに失速し、後ろからもうスピードで追い上げていた僕にあっという間に抜かされたのだ。