彼女と一秒でも長く一緒にいたいから、僕は全て神様に納めました

「だいじょうぶだよ」

そう言って女神様は、僕の願いを承諾した。

母親のアルコール依存症を治して、むかしのように父親と一緒に暮らせることがうれしい。

僕はサイフから一万円札を取り出して女神様に渡そうと思ったそのとき、「楽しかったぶん、別れるときに悲しみもくるよ」と言った。

「え!」

そう言われて、僕の体がゆっくりと固まるのを感じた。

なんども注意する女神様の言葉が、僕の頭の中で反響した。むかしのように家族の〝愛〟をもう一度体験してしまうと、突然の別れが悲しい。

「好きな人を引き伸ばしてるのも、これから家族の愛情を体験するのも一時的なものだからね。そしてそこには、全部〝お金〟がからんでいる」

女神様の口調は、冷たかった。まるで、お金でほんとうに大切なものは買えないと言っているようだった。