彼女と一秒でも長く一緒にいたいから、僕は全て神様に納めました

「ほんとうに愛しているんだったら、愛している者のことを一番に思ってあげるべきよ」

女神様の言い方は、やさしかった。けれど、女神様が導き出した答えがむずかしく、子供の僕にはまだはっきりとわからなかった。
「恋って、むずかしいね」

そう言って僕は、女神様の胸に顔を埋めた。

十六歳にもなった男性が女性の胸に顔を埋める行為は恥じらいもあったが、誰も見てない今は甘えたかった。

「君、いくつ?」

そう訊ねて、女神様は僕の背中に手を回してくれた。

「十六歳」

こもった声で、僕は自分の年齢を言った。

年上の女性だけあって話しやすいせいか、女神様には自分の想いを口にしてしまう。

「甘えた男性は、女性にはモテないよ」

女神にからかうような口調で言われ、僕は「寒かったからだよ」と言った。

僕の顔は、かすかに赤くなっていた。それは、〝寒いから〟という理由ではなかった。

「僕たちの関係も、お金でつながってるの?」

僕は、低い声で訊いた。

女神様に恋愛感情は抱いてなかったが、別れるのはさびしかった。