彼女と一秒でも長く一緒にいたいから、僕は全て神様に納めました

「なにかしら?」

「なんですか?」

僕の声に反応して、二人がこっちに振り向いてくれた。

いざ呼び止めたものはいいものの、なにを話したらいいかわからなかった。

数秒間、頭の中でなにを話すか考えたのち、「子供、産まれるんですか?」と、女性に視線を向けて訊いた。

「その目、私に聞いてるんだよね?」

「は、はい。そう‥‥‥です」

僕は、小さく首を縦に振った。

「そう、もうすぐ産まれるの。初めての妊娠だから、元気な子が産まれてきてほしいわ」

女性はうっとりした表情を浮かべて、自分のお腹に手を当てて言った。

女性が口にした今の言葉を聞いて、この世で一番愛した彼のことはもう完全に忘れていることがわかった。