「その願いをかなえた彼は、そのあとどうなったの?」
桜色の唇を開いて、僕は小さな声で訊いた。
「それ以降、一度も会ってないよ」
つまり、それが答えだった。もう、彼はこの世にはいない。
しんみりとした空気が流れ、鈴虫の鳴き声が悲しく聞こえる。
秋は、きらいだ。気温も冬にかけて寒くなる季節だし、どこにも行けなくなる。その寒さの影響なのか、人肌が恋しくなって、つぼみのことをどの季節よりも考えてしまう自分が苦手だった。
「その妻は、幸せになったの?」
僕は、小さな声で訊いた。
「幸せになってるみたいだよ。彼のことも忘れて、新しい恋人と一緒によく神社にお祈りに来る姿を見るよ」
「そう‥‥‥なんだ」
女神様の口から彼女が幸せになっていることがわかったが、僕はそれをすなおによろこぶことはできなかった。
彼が神社にお金を納めたから彼女が幸せになれただけで、お金を納めなかったら、子供と夫の死を今でも妻は引きずっているはずだ。それに妻の幸せをよろこんでしまうと、夫の死をよろこんでいるような気がしてしまって彼女の幸せをすなおに祝福できなかった。
桜色の唇を開いて、僕は小さな声で訊いた。
「それ以降、一度も会ってないよ」
つまり、それが答えだった。もう、彼はこの世にはいない。
しんみりとした空気が流れ、鈴虫の鳴き声が悲しく聞こえる。
秋は、きらいだ。気温も冬にかけて寒くなる季節だし、どこにも行けなくなる。その寒さの影響なのか、人肌が恋しくなって、つぼみのことをどの季節よりも考えてしまう自分が苦手だった。
「その妻は、幸せになったの?」
僕は、小さな声で訊いた。
「幸せになってるみたいだよ。彼のことも忘れて、新しい恋人と一緒によく神社にお祈りに来る姿を見るよ」
「そう‥‥‥なんだ」
女神様の口から彼女が幸せになっていることがわかったが、僕はそれをすなおによろこぶことはできなかった。
彼が神社にお金を納めたから彼女が幸せになれただけで、お金を納めなかったら、子供と夫の死を今でも妻は引きずっているはずだ。それに妻の幸せをよろこんでしまうと、夫の死をよろこんでいるような気がしてしまって彼女の幸せをすなおに祝福できなかった。


