彼女と一秒でも長く一緒にいたいから、僕は全て神様に納めました

「それで、その彼はどうしたの?」

僕は、低い声で訊いた。

「彼は子供が産まれる日まで、神社にお金を納めて自分の子宝を待ち続けたよ。いつまでもね」

女神様の声色が変わって、僕の胸が急にざわめき始めた。

変な胸騒ぎが、なにか嫌な予感を呼んでいる感じがした。僕の嫌な予感はなにかと当たってしまうことが多いだけに、今回だけはハズレてほしいと思った。

「でもね、産まれてくる予定だった子供、流産したんだって」

僕の嫌な予感は、的中してしまった。

今回ばかりはハズレてほしいと強く願っていただけに、女神様が口にした言葉が絶望的なショックだった。

「そ、そんな‥‥‥‥」

僕の口から出た震えた声が、静かな夜に悲しく溶け込んだ。

若くして肺がんと宣告されただけでも辛いのに、産まれてくる予定子供までも親より早く亡くなるなんて‥‥‥‥

出会ったこともない人だったけれど、彼の人生を聞くと涙が込み上がる。