バレンタインのユウウツ



「あー!帰った帰った!!疲れたー。」


とお姉ちゃんは家に帰るなり部屋着にも着替

えず、すぐソファに倒れこんだ。


お姉ちゃん、数時間も付き合わされた挙句手

作りチョコに変更されて、やっぱり迷惑だっ

たよね...。


年が5つも離れてる、彼氏持ちのお姉ちゃんだ

から、普段おはようもおやすみも言わなくて

、あまり話さない。最近の会話はお正月の時

のお笑い番組を見て一緒に笑ったくらい。


お姉ちゃんはサバサバしててさっき話した時

も緊張はしなかったけど、





私のこと、嫌ってるよ...。



イライラした時いつも冷たい声で怒って、話

しかけないでって言うからーーーー。


いや、私はウカウカしてらんない。もう暗く

なってるし、明日の為に早く作んなきゃ!


むんっ、と腕をまくって私は気合を入れた。


「ええーっと、取り敢えず板チョコを湯せん

で溶かすのか..」


「お母さん帰ってくる前に早く作ってね、あ

と汚さないでよ。」


といきなり注意させてヒエッとなった。ふあ

ーいと返事をした。お姉ちゃんは私に背を向

け、そのまま喋らなくなった。


「えーとあっ!板チョコ最初刻むのか!危な

い危ない...。」


ザックザックと音を立てて板チョコを細かく

した。


前回、可愛い、ちょっと凝ったチョコにしよ

うと頑張ったけど、器用じゃない私は可愛い

チョコに出来なかった......という失敗をした。

なので、今回は、銀紙に溶かしたチョコを注

ぎ込み、冷やしてカンタンなデコレーション

をする!という絶対に失敗しないこの選択肢

を取った。


..本当は本命チョコだから、フォンダンショコ

ラとかカップケーキ並みのチョコにしたいけ

ど、どうやら私には無理そう....。

ハートの形なんて勿論論外。シンプルになっ

ちゃったけど、心!!心だから!!!


「早く固まんないかなー!」


と思わず独り言が出てしまった。手作りって

、大変だけど、好きな人を想ってやるのは

楽しい。


菜太郎くん...喜んでくれるかな。